今回の第15講座は立体の問題を解説します。体積や表面積を求める問題ではなく、たくさんの立方体を同じ仲間で分類するという問題です。さんじゅつまんの思い出話とともに、どうぞお楽しみください。
上から順にのぞみ・かなえ・たまえ
昔、ボクがだいぶ若い頃、「わらべ」という女の子3人のグループがありましてね。萩本欽一さん(欽ちゃん)のお笑い番組からデビューして「めだかの兄弟」という大ヒット曲を飛ばし、女の子の名前は
のぞみ・かなえ・たまえ。そのなかの一人だった高部知子(のぞみ)さん、何を隠そうボクとおんなじ中学校なんですよ。
在学期間が1年ずれていたから学校で会ったことはありませんが、後輩たちから彼女のモテモテぶりを聞かせてもらったものです。
そんな彼女の女優出世作は「積み木くずし」。不良少女と両親の闘いを描いた昭和の名作ドラマ(TBS系 1983年)です。
それが算数とどう関係あるのかって? あるんですよ、ちゃんとあるんです。
じつはね、算数の問題にも積み木くずしと呼ばれている問題があります。
立方体の積み木をある形に積み上げて、表面に色をぬってからバラバラにくずすんです。そしてバラバラにされた立方体について、色のついている面の数が聞かれたりします。
百聞は一見にしかずですね。さっそく問題を見てもらいましょう。
左図のように立方体が積み重ねてあります。
全部で37個です。
この状態で、表面に赤い色をぬることにします。
(床に接している底面にもぬります)
その後、立方体がバラバラになるようにくずします。
37個の立方体を次のように分類してください。
(ア)4つの面が赤いもの(イ)3つの面が赤いもの
(ウ)2つの面が赤いもの(エ)1つの面が赤いもの
(オ)赤い面がないもの
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このような問題は、アバウトに数えるとたいてい数え間違うから、
一番上の段、上から2段目、上から3段目、一番下の段というように
1段ずつ平面図で抜き出し、段ごとにしっかりと観察します。
その結果は下の通りです。(数字は赤くなっている面の数)
【一番上の段】
【上から2段目】
【上から3段目】
【一番下の段】
3 |
2 |
2 |
3 |
2 |
1 |
1 |
3 |
2 |
1 |
1 |
3 |
3 |
2 |
3 |
4 |
この結果をもとに、赤くなっている面の数を整理してみます。
(ア)4つの面が赤いもの6個
(イ)3つの面が赤いもの11個
(ウ)2つの面が赤いもの8個
(エ)1つの面が赤いもの11個
(オ)赤い面がないもの1個
合計37個
どうですか? みなさんはこの問題が出されたら正解できそうですか?
やり方は簡単だからわかったけど、うっかりミスが出そう? うんうん、そういう感想の人が多いでしょうね。
こういう問題って意外と正答率が低いんです。注意力が散漫(さんまん)な人なんかアッという間に数え間違えてしまいますからね。きっと、生徒の集中力を試す問題として、これからもず〜っと出されることでしょう。
算数の問題って、途中で1ヵ所でも間違えたら、その先は全部くるうよね。シビアー(きびしい)ともいえるけど、そのシビアーさを克服して途中のノーミスを目指すことが算数の問題を解くことの意味なんだよ。大げさにいえば、そこにしか算数という科目の意味はない!
ほら、フィギュアスケートで、浅田真央さんや村上佳菜子さんみたいに、かなり才能のある選手でも、転倒したりして勝てないこともあるでしょう? でも彼女たちは、失敗してもまた次の試合でノーミスを目指していく…。
算数(勉強)でも、あの彼女たちの気持ちを見習うことはすごく大事だと思うな。なんとしても正解をつかむんだ!という気持ちを持っていつも算数(勉強)に向かっていけば、必ず実力が上がっていくことをボクが約束しますよ!
後輩ののぞみさんの雑談から楽しく始まり、最後は算数を勉強するみんなにちょっときびしくエールを贈りました。いつもよりちょっと脱線タイムが長かったかもしれませんね。まぁたまにはこんな回があってもいいでしょう。積み木くずしの考え方、忘れないで覚えていてくださいよ。
じゃあみなさん、今回はさようなら!
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