今回の講座は計算問題の解説です。ただし普通の計算ではなく、部分分数と呼ばれる知らないとマゴマゴしてしまう計算問題です。中学受験での出題例もすごく多いですよ。よく読んでマスターしてくださいね。
ブブンブンスウ。
早口コトバではありませんが、何回か読むうちに舌がからまってしまうかもしれません。もう一度ゆっくり読んでください。ブブンブンスウ(部分分数)です。
その意味はあとで書きますが、昔から中学受験での出題が多い計算問題で、そのうち出なくなるだろうと思っているのですが、なかなか下火になりません。今でもすごく人気がある問題ですね。
そして今回の計算の特長は、習ったことがないと太刀打ち(たちうち)できない点です。かなり優秀な人でも、その場でのアドリブ解答はほとんど絶望的だと思います。
ではさっそく出題しますね。みなさんは次の3問が解けますか?
※分数が読みにくいかも知れません。キーボードで普通の分数を入力するのは大変なんです。
1/(2×3) は分子が1、分母が2×3です。
次の式を計算しなさい。
(1) 1/(2×3)+1/(3×4)+1/(4×5)+……+1/(8×9)+1/(9×10)
(2) 1/(3×5)+1/(5×7)+1/(7×9)+……+1/(15×17)+1/(17×19)
(3) 1/(2×5)+1/(5×8)+1/(8×11)+……+1/(26×29)+1/(29×32)
|
ではしばらくページを空白にしますので、考えてみてください。
どうでしたか?
初めて解いてできた人はすごいと思いますよ。たぶんできた人は経験があった人じゃないかな。
では解説しましょう。
じつは1/(2×3) のような分数は、
1/2−1/3 のように分数同士の差で表すことができます。 どちらも1/6でしょう?
1つの分数を2つに分けるから、このことを部分分数に分けるといっています。
1/(2×3)
の場合は分母の2と3が隣り合う数なので、1/2−1/3で大丈夫ですが、
1/(3×5)
のように分母の数が離れているときは、
(1/3−1/5)×1/2のように、1/分母の差をかけて調整する必要があります。
ここ、忘れやすいので注意してください。
この性質を利用すると、さきほどの問題は中間部分がどんどん消えてしまい、とても簡単に答を出すことができます。
では解答です。
同じ分数を 引いて(−)たせば(+) 0になって消えますよね。
(1)
1/(2×3)+1/(3×4)+1/(4×5)+・・・+1/(8×9)+1/(9×10)
=(1/2−1/3)+(1/3−1/4)+(1/4−1/5)+・・・+(1/8−1/9)+(1/9−1/10)
=1/2−1/10=2/5
(2)
分母の差が2だから、最後に1/2をかけて調整します。 あとは(1)と同じです。
1/(3×5)+1/(5×7)+1/(7×9)+・・・+1/(15×17)+1/(17×19)
=(1/3−1/5)+(1/5−1/7)+(1/7−1/9)+・・・+(1/15−1/17)+(1/17−1/19)
=1/3−1/19=16/57
1/2をかけて調整すると、16/57×1/2=8/57
(3)
分母の差が3だから、最後の調整は1/3倍です。
1/(2×5)+1/(5×8)+1/(8×11)+・・・+1/(26×29)+1/(29×32)
=(1/2−1/5)+(1/5−1/8)+(1/8−1/11)+・・+(1/26−1/29)+(1/29−1/32)
=1/2−1/32=15/32
1/3をかけて調整すると、15/32×1/3=5/32
***
以上、パッと見ると ??? の式が、部分分数に分けることで簡単に計算できてしまうというお話でした。中学受験生や経験者には常識だったかも知れませんね。
初耳だった人は、今日インターネットをやってよかったですね。どうか今日勉強したことを、おじいちゃんやおばあちゃんになっても忘れないで覚えていてくださいね。
どうしてって?
いつかあなたに孫ができたとき、もし教えられるおじいちゃん、おばあちゃんだったらすごく素敵じゃないですか;^^)
それではまた次回の講座でいっしょに算数を考えましょう! じゃあネ!
|