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   みんなの算数講座    第49講座    エラトステネスの    ふるい


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これまで以上に読みやすい文体、装飾、見やすい図形を心がけました。算数知恵宝庫にもぜひいらしてくださいね。


お星さまと虹今回は問題の解説ではなく、ちょっとした知識の講座です。
自然数を2つのチームに分類するお話。片方は
素数(そすう)チーム、もう片方は合成数(ごうせいすう)チームです。


素数は、1とその数自身以外に約数を持たない自然数のことで、素数でない自然数は合成数です。
素数の方は有名だと思いますが、合成数の方はあまり名前が知られていないかも知れません。反対の関係の言葉として、両方覚えておいてくださいね。
あっ、それから1は素数でも合成数でもありません。1は今回のお話のレフェリーみたいな数で、まったく中立の立場です。
だから正確に言えば、自然数は〈1〉か〈素数〉か〈合成数〉ということになりますね。

え? 0ですか?
0は整数には含(ふく)まれるけど、自然数には含まれないのね。今回の話は自然数の範囲で考えるから、0のことは気にしないでください。それから、0より小さいマイナスの整数も、算数では想定しないことになっています。

※整数と自然数の違い
整数…0と、0に1ずつ加えていくことで得られる数。算数では想定しないが0から1ずつ引いていくマイナスの整数もある。
自然数…整数のうち、0とマイナスの整数を除いた数。1以上の整数。数を数えるときに使う数という説明もできます。
つまり、算数では0を含めると整数、含めなければ自然数ということです。


さて今回のタイトルは
エラトステネスのふるいです。
エラトステネスは紀元前の学者で、地球の大きさを測定するなど、第二のプラトンと呼ばれるほど優秀だった人ですが 参考文献wikipedia 彼は、自然数を素数と合成数に分けていく方法として〈エラトステネスのふるい〉を考案しました。
ふるいふるい というのは左の写真のような道具のことで、穴の大きさによって、それより小さな物質を ふるい落とすためのものです。
なぜそんな名まえがついているのか、次の説明を読みながら考えてくださいね。


それではエラトステネスのふるいによって、100以下の自然数を素数と合成数に分けてみます。
100以下の自然数を順に書き並べた下の図を見ながらお読みください。

10
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
31 32 33 34 35 36 37 38 39 40
41 42 43 44 45 46 47 48 49 50
51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
61 62 63 64 65 66 67 68 69 70
71 72 73 74 75 76 77 78 79 80
81 82 83 84 85 86 87 88 89 90
91 92 93 94 95 96 97 98 99 100


10
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
31 32 33 34 35 36 37 38 39 40
41 42 43 44 45 46 47 48 49 50
51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
61 62 63 64 65 66 67 68 69 70
71 72 73 74 75 76 77 78 79 80
81 82 83 84 85 86 87 88 89 90
91 92 93 94 95 96 97 98 99 100


手順A
素数ではない1を消す(
色) ※消した整数(素数ではない整数。合成数)はカラーで表示しています

手順B

素数の2を残し、素数ではない〈2以外の2の倍数〉をすべて消す(
色)

手順C
素数の3を残し、素数ではない〈3以外の3の倍数〉をすべて消す(
色)

手順D
素数の5を残し、素数ではない〈5以外の5の倍数〉をすべて消す(
色)

手順E
素数の7を残し、素数ではない〈7以外の7の倍数〉をすべて消す(
色)

100までの ふるい はここで分類作業終了です。すべての数が素数と合成数に分かれました。


もし、もっと広い自然数の範囲で ふるい を実行するなら
手順F
素数の11を残し、11以外の11の倍数をすべて消す
手順G
素数の13を残し、13以外の13の倍数をすべて消す
………というように続きます。

さて、この作業が ふるい と言われる理由はおわかりになったでしょうか?

素数2を残して2の倍数を消し、素数3を残して3の倍数を消し、
素数5を残して5の倍数を消し、…
こうした作業によって素数だけが ふるい の上に残され、素数ではない数(合成数)が ふるい の穴からふるい落とされていく…。そういうイメージですね。
上の図で白くなっているところが素数、色のついているところが1を除いて合成数です。
なかなか面白いでしょう?

さて、いまの100以下の範囲での ふるい では、7を残して7の倍数(49、77、91)を消したとき、分類作業が終了と書きました。なぜそこで終了になるか 理由はわかりますか?

7の次に小さい素数は11ですよね?
もちろん11は素数として残っていますが、それ以外の11の倍数は、22が2の倍数のときに消え、33が3の倍数のときに消え、………
というように、すでにすべてが消えているからです。
つまり、11×□という11の倍数で、□が11より小さいものは残っていません。もし□を11にすると 11×11=121 だから、それは表の範囲を超えています。
という理由で、7の倍数を消した時点で操作終了ということになるのです。

***
エラトステネスのふるい いかがでしたでしょうか?
じつは素数という数の世界には、まだまだ多くの謎が隠されていましてね。たとえば、ある大きな自然数(例えば573491273)が素数かどうかを簡単に調べる方法は、現在までの科学では発見されていません。
そうした方法(大きな数の素数判定)が果たして存在するのか、しないのか?それすらもわかっていません。もしみなさんがいつか発見したら、フィールズ賞受賞は間違いありませんよ。
※数学にはノーベル賞がありません。かわりにフィールズ賞が数学での最高栄誉です。

まぁ、算数ではあまり大きな数の素数判定は必要ないと思いますが、100まで(できれば200まで)の自然数が素数かどうかは、あまり時間をかけずに判断できると便利ですね。何回か ふるい を実行すれば、素数かどうかを覚えてしまう人も多いと思います。

じゃあ今回の講座、これにておしまいです。


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