旧バージョンの講座時代からすごく人気があった第5講座です。アマリーサリーバラバリーは、ボクが考えたオリジナルの解法ネームです。よく似た問題に3つのクセがあり、それをしっかり区別してもらうために考えたのです。そういえばいつだかアマリーちゃん、サリーちゃん、バラバリーちゃんをキャラクターにしたイラストを描いてくれた女の子がいたなぁ。懐かしい…。あの子、今ごろどうしてるだろう?
では問題です。
(1)3でわっても5でわっても1あまる整数のうち、100にもっとも近い整数は
いくつですか?
(2)4でわると2あまり、5でわると3あまる整数のうち、100にもっとも近い整数は
いくつですか?
(3)4でわると2あまり、7でわると1あまる整数のうち、100にもっとも近い整数は
いくつですか?
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いきなり何?と思うかも知れませんが、(1)がアマリー、(2)がサリー、(3)がバラバリーに分類されます。
3つの問題を見ると、似てるなぁという感じがしますよね。ところがね、それぞれの条件にクセがあって、そのクセに応じてアプローチ(解き方)も3つあるんですよ。ではそれぞれのアプローチをよく読んで理解してくださいね。
(1)アマリーに分類されるパターン
特徴はあまりがそろっている点です。あまりがそろっているのでアマリーと名づけました。
アマリーのパターンでは、
(わる数の最小公倍数×□)+あまり という式を用意しておくと、□のところに0、1、2、3、…と整数をあてはめていくことで、次々に解答の候補を求めることができます。
問題にはそのときによっていろいろな条件があるから(2ケタ・3ケタ・100より小さいetc)あとは候補の中からその問題にふさわしいものを選べばよいわけです。
※上のような解答の候補を見つける式をボクは代表式と呼んでいます(正式な用語ではありません)
さきほどの問題では、わる数3と5の最小公倍数が15なので、代表式は{15×□+1}となります。
この式を計算した結果が「100にもっとも近い」数になるように□に当てはまる数を考えます。
100÷15=6あまり10より、
□=6を代表式にあてはめると、15×6+1=91
□=7を代表式にあてはめると、15×7+1=106
91より106の方が100に近いので、答えは106です。
※91を解答する生徒が多いです。「100に近い」という条件だから、100を超えてもかまいません。今回のような問題では、1つとなりを調べる習慣が大切です。もちろん「100以下」「100より小さい」という条件なら91が正解です。
(2)サリーに分類されるパターン
特徴はわる数とあまりの差がそろっている点です。
差がそろっているのでサリーにしました。リーの部分はアマリーと似せました(笑)
さきほどの問題文をもう一度見て、わる数とあまりの差がそろっていることを確認してください。
4−2=2
5−3=2
確かにわる数とあまりの差が2でそろってますね。
サリーのパターンでは、
(わる数の最小公倍数×□)−そろっている差 という式を用意しておくと、□のところに1、2、3、…と整数をあてはめていくことで、次々に解答の候補を求めることができます。
問題で求めようとしている数は、そろっている差を加えることによって、どちらでわっても(上の問題では4と5)わりきれるようになるはずです。そのことを逆に考えれば、上の式の意味がわかると思います。
※アマリーは□=0からですがサリーでは1からです。0だと計算結果がマイナスになってしまうからです。
(2)の問題では、わる数4と5の最小公倍数が20、わる数とあまりの差が2なので、代表式は
{20×□−2}となります。
この式を計算した結果が「100にもっとも近い」数になるように□に当てはまる数を考えると、□=100÷20=5となります。これを代表式にあてはめるて、20×5−2=98が解答です
※□=6で次を調べると118。当然98の方が100に近いですね。
(3)バラバリーに分類されるパターン
アマリーやサリーのようにそろっているものがないことが特徴です。条件がバラバラということでバラバリーと名づけました。当初はバラバラーだったのですが、他の2つと語尾の音感をそろえバラバリーに変化しました。言葉とは時代の流れの中で変化するものですね。まぁそんな大げさなもんでもないですけど(笑)
バラバリーのパターンでは、書き出し作業によって
問題の2つの条件に当てはまる最小の数を1つだけ自力で調査してください。
問題の1つめの条件「4でわると2あまる数」は、
2 6 10 14 18 22 26 ・・・ (A)
問題の2つめの条件「7でわると1あまる数」は、
1 8 15 22 29 ・・・ (B)
この書き出しによって、両方の条件に当てはまる最小の数が22とわかりました。もちろんこれ以上書き出す必要はありません。
(A)の並びは4ずつ、(B)の並びは7ずつ増えているから、4と7の最小公倍数=28より、両方の条件に当てはまる2番目の数は 22+28=50、3番目の数は 22+28×2=78、… 以降、計算によって次々に両方の条件に当てはまる数を求めることができます。
バラバリーのパターンでの代表式は、
(わる数の最小公倍数×□)+条件に合う最小の数 となります。(3)の問題の場合、代表式は{28×□+22}ですね。
この式を計算した結果を100に近づけるために、□に当てはまる数を考えると、100÷28=3あまり16より□=3。これを代表式にあてはめて28×3+22=106 解答が求められました。
※すでに100を超えていますから、次ではなく1つ手前を調べると、□=2のときの78になります。106と78は明らかに106の方が100に近く、答えは106で問題ありませんね。
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アマリーサリーバラバリー。お楽しみいただけたでしょうか?
ちょっと付け加えておくと、バラバリーの解法はアマリーやサリーの条件でも使え、その意味ではバラバリーが万能選手です。
しかし、アマリーやサリーが使えるときはぜひ使ってほしいですね。バラバリーはバラバラのときだけ仕方なく…と思っていてください。アマリーサリーバラバリーの3つがきちんと分類してマスターできたら、わる数とあまりの問題にだいぶ強くなっていると思いますよ。
それでは今回の講座はここまでにします。
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