今回はちょっと難解な速さの問題を題材にします。経験がなくて初見で解くのはかなり厳(きび)しいと思います。ボクも若い頃、解けませんでした。ぜひ一度読んでおいてください。
算数の問題の出題者は、難しい問題をこしらえるために、ときどき現実的ではない設定を用意します。今回の問題もその一つですね。
数人のグループがA地点からB地点に向かいますが、クルマが一台しかなく乗りきれない...
そこでグループは二手(ふたて)に分かれ、片方のグループはクルマで目的地に向かい、もう片方のグループは歩いて目的地に向かいます。
すると当然クルマ組の方が速いですから、ドライバーは途中で同乗者を下ろし徒歩組を迎えにいきます。冷たい...普通最後まで送るよね〜
そしてどこかで徒歩組を見つけると、彼らを乗せてクルマは再度目的地へと向かいます。
結果として2つのグループは同時に目的地へ到着! とてもおめでたいけど奇跡じゃないかな...
こんなふうに算数の文章題らしい強引な設定なのですが、ところがこの設定の問題、なかなか難しいんですよ。では問題をご覧ください。
A地点にオジサン1人と子供6人がいます。この7人がA地点から24km離れたB地点に向かうのですが、クルマは1台しかありません。
そこでオジサンは、クルマに3人だけ乗せてB地点に向かい、残りの3人はクルマと同じ道を歩いてB地点に向かわせました。
オジサンは途中のC地点で3人の子供を下ろし、歩いてB地点に向かわせました。そしてC地点から引き返し、A地点から歩いてきた3人をD地点でクルマに乗せ、再びB地点に向かいました。その結果、全員が同時にB地点に着きました。
クルマの速さは時速36km、徒歩の速さは時速4kmで、クルマの乗り降りにかかる時間は考えません。
(1)C地点からD地点までの距離は何kmですか?
(2)A地点を出発後、B地点に到着するまでにかかった時間は何時間ですか?
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問題文を書いていて疲れました。みなさんも読んでいて疲れたかも知れませんね。おわびに状況を図でも示しておきます。

←こういう状況です。
実線がクルマで点線が歩きです。
色で分けたのは時間の流れです。
同じ色のところが同じ時間ですね。
でもこの問題、こういう直線図だけでは
状況が見えにくいかもしれません。
じつはこの問題、平行四辺形グラフの問題と呼ばれていて、横軸を時間、タテ軸を距離にしたグラフを書くと、その状況が美しい平行四辺形のグラフになります。
↓こんな感じです。

最初の図と同じように、クルマの進行を実線、歩く子どもたちを点線にしました。
時間の流れを色で区別しています。
青 クルマがC地点で子どもを降ろすまで
赤 引き返したクルマが子どもを拾うまで
緑 B地点に到着するまで
です。
なぜこのような平行四辺形のグラフになるかといえば、全員が同時にB地点に到着したということは子どもたち2グループがクルマに乗っていた時間と歩いていた時間が同じになるからです。
もし、クルマに乗っていた時間と歩いた時間が違えば、2グループが同時にB地点に到着することはありません。長い時間クルマに乗っていたグループが先にB地点に到着するでしょう。
つまり、どちらのグループも同じだけクルマに乗って、同じだけ歩いたのです。そのことから上のような美しい平行四辺形グラフができあがります。
さて、ここで速さの基礎知識を使います。
所要時間が等しいとき、(進んだ距離の比)=(速さの比)になるから、
〈歩きの速さ〉:〈クルマの速さ〉=4:36=1:9より、
〔AD間の距離〕を1とすると、
〔AC間の距離+CD間の距離〕が9になります。
※子どもたちがAD間を歩いているとき、クルマはAからCまで行き、さらにCからDへ戻っています。
比を記入したグラフをもう一度のせますね。見にくいとまずいからグラフのカラーは消しました。

ではこのグラフを使いながら、さらに解説を進めます。
CD間の距離は (9−1)÷2=4
AB間の距離は、1+4+1=6
また、クルマが走った距離の合計は 9+4+1=14
です。
※BC間の距離はAD間と同じです。2グループが歩いた時間が同じだからです。
(1)
CD間の距離は、AB間の距離に対して6のうちの4 つまり2/3です。
AB間の距離は24kmだからCD間の距離は 24×2/3=16kmです。…(1)の答え
(2)
出発してから到着するまでにかかる時間は、クルマが走った距離の合計をクルマの速さで
わります。
クルマが走った距離の合計はAB間の距離の14/6 つまり7/3倍だから、
24×7/3=56km ←クルマが走った距離の合計
クルマの速さは時速36kmだから、出発してから到着するまでにかかる時間は
56÷36=56/36(時間)=14/9(時間)=1と5/9(時間)…(2)の答え
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どうでしたか? 理解できたかなあ?
今回どうしてもこの問題を解説したくて、張り切って図を作ってやってみましたが、少し難しかったかもしれませんね。まだ不安な人はこのページをカラー印刷して、何度か読むようにしてくださいね。わかったときの爽快感(そうかいかん)最高だと思いますよ。
では今回はここまでにします。次回の講座に乞(こ)うご期待!です。
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