今回は第3講座のてんびん紹介以来、食塩水のテーマを取り上げたいと思います。まともにぶつかる正攻法より、時間を2〜3倍短縮できちゃうワザがあります。さてさてどういうことなのでしょう???
久々の食塩水はこんな問題です。
20%の食塩水が500gあります。
【操作】食塩水を100gを捨てて、代わりに100gの水を入れます。
(1)【操作】を1回だけ行うと、食塩水は何%になりますか?
(2)その後、同じ【操作】をもう1回行うと、食塩水は何%になりますか?
(3)さらにその後、同じ【操作】をもう1回行うと、食塩水は何%になりますか?
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ではワザの話は置いといて、まともにぶつかることから考えてみましょう。
(1)
100gの食塩水を捨てたとき、20%の食塩水は400g残るから、20%の食塩水400gと水100gを混ぜることになります。てんびん(第3講座参照)も使えますが、ここではごく普通に食塩の重さを求めて考えることにします。
(500−100)×0.2=80g →食塩水を100g捨てたあと、残り400gに含まれる食塩の重さ
400+100=500g →100gの水を戻すと食塩水は500gに復活!
濃度=食塩÷食塩水より、80÷500=0.16=16% →(1)の答え
(2)
1回目の操作で、食塩水の濃度は16%に下がっています。
ここで100gの食塩水を捨てたとき、16%の食塩水が400g残るから、16%の食塩水400gと水100gを混ぜることになります。
(500−100)×0.16=64g→2回目に食塩水を100g捨てたあと、残り400gに含まれる食塩の重さ
400+100=500g →100gの水を戻すと食塩水は再び500gに復活!
64÷500=0.128=12.8% →(2)の答え
(3)
食塩が減って水が増えるから、濃度は徐々に低くなりますが、あと何回【操作】を繰り返しても考え方は同じです。
もう一度100gの食塩水を捨てたとき、12.8%の食塩水が400g残るから、12.8%の食塩水400gと水100gを混ぜることになります。
(500−100)×0.128=51.2g →3回目に食塩水100gを捨てたあと、残り400gに含まれる食塩の重さ
400+100=500g →100gの水を戻すと食塩水は三たび500gに復活!
51.2÷500=0.1024=10.24% →(3)の答え
以上、ごく普通にぶつかる方法の解説でした。決して難しくはないですが、なんかもっと簡単な方法がありそうですよね。
もちろんあります!
今日せっかくパソコンに向かって(いまはスマフォやI-PADでも見れるけどね)ボクの算数講座を読んでもらっているわけですから、みなさんにとって素敵なお土産(おみやげ)になったらうれしいです。ちゃんとみなさんの頭に格納して、忘れないお土産にしてくださいね!
じゃあお土産の発表!
食塩水と同量の水を交換する問題では、次の考え方が使えます。
食塩水を同量の水と交換すると…
新しくできる食塩水の濃度
=もとの食塩水の濃度×(残した食塩水の重さ/もとの食塩水の重さ)
つまりさ、上の問題の(1)だと、
80gの食塩が400gの食塩水に溶けていると20%、500gの食塩水に溶けていると16%。
400:500=4:5
20:16=5:4だから、
食塩水の重さと濃度は反比例していて、食塩の重さを変えずに(水だけの追加で)食塩水を400gから500gにすれば(5/4倍)、濃度は4/5倍になるということなのです。
言われてみれば当たり前の話なんだけど、こうしたことを実際に使えるかどうかは別問題でね。でも使えたらはやく解けますよ〜。
この考え方を使ってもう一度上の問題を解くと、
(1) 20%×(400/500)=20%×(4/5)=16%
(2) 16%×(4/5)=16÷5×4=12.8%
(3) 12.8%×(4/5)=12.8÷5×4=10.24% もう終わり(笑)
(おまけ) もしあと1回操作すれば10.24%×(4/5)=10.24÷5×4=8.192%
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食塩水と水の同量交換は、まともに食塩の重さを計算しなくても、もとの濃度に
<残した重さ/もとの重さ>という分数をかけることで、新しい濃度がすぐに求められる…というお話でした。
いゃ、まともにぶつかることが決して悪いわけではないですよ。ただ、こうした知識を持っていることが、解答時間の短縮という意味で役に立つこともあるはずです。
キーワードは 食塩水を捨て 同じ量の水を戻す です。問題文でそんなキーワードをみたら、今回の第27講座を思い出してほしいですね。
さんじゅつまん、そう願って今回はおしまいにしたいと思います。
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