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   みんなの算数講座    第63講座    てんびんの    ウィークポイント

お星さまと虹今回は食塩水の問題の中で、第3講座で説明した〈てんびん〉だけでは解決できない問題を紹介します。食塩水問題で無敵になるためには〈てんびん〉以外に正しい食塩水の見方が必要ですね。


本題の前に、少しだけ自慢話を聞いてください。
じつは数年前、ある県の教育委員会から1通のメールを頂いたことがあります。その用件は、ボクの書いたみんなの算数講座 第3講座をそのまま複写し、
ナ、ナ、ナント 算数指導の資料として全県の小学校の先生に配付してもよいだろうか?というものでした。
第3講座といえば「食塩水問題のはやわざ」ということで〈てんびん〉を紹介した講座ですね。
食塩水の〈てんびん〉は確かに解法ツールとしてのインパクトがあるし、もちろん光栄なお話なので2つ返事でOKしましたよ。

でもじつは
〈てんびん〉だけでどんな食塩水問題でも解けるわけではないから、できれば今回の講座に書くような内容もいっしょに配れたらいいナと思いましたね。
そのお願いが来たときはまだこの講座を書く前でできなかったのですが…。


…というわけで、某県の先生たちには間に合いませんでしたが、ホームページのお客さんには
ここで〈てんびん〉だけでは足りない食塩水の問題 ←問題1
〈てんびん〉が全然関係ない食塩水の問題 ←問題2
を紹介しようと思います。

順番にやりますね。まず問題1。

問題1
2つの容器A、Bがあり、Aには12%の食塩水が300g、Bには7%の食塩水が200g入っています。
2つの食塩水から同じ量の食塩水を取り出し、Aから取り出したものをBに、Bから取り出したものをAに入れてよく混ぜると、A、Bの食塩水の濃度は等しくなります。
初めに取り出した食塩水は何gずつですか?


残念ながらこの問題は〈てんびん〉に任せておくだけでは解決しません。
〈てんびん〉に加え、
食塩水を交換するときの大切な見方が必要ですね。

下の図をみてください。
 解説図  

ハコ内の数値は上が濃度%、下が食塩水の重さgを表しています。
また、同じ濃度の食塩水を同じカラーで示しています。

食塩水AとBからそれぞれ
gを反対側に移します。このとき次の発想が少し浮かびにくいのではないかと思いますが、

大事な発想 gの食塩水交換後に等しくなる濃度とは、
初めの状態で食塩水を混ぜたときの濃度と同じです。

わかりますか? もう少しくわしく言いましょう。
同じ量の食塩水を交換して濃度が等しくなったということは、その交換が終わったときにそっくり混ぜても等しい濃度のままでしょう?
それって
結局、初めの状態で混ぜたのと同じことですよね


では納得してもらえたということで、初めの状態で混ぜたときの濃度を計算します。
ここは〈てんびん〉使わずに普通に求めますよ

12%の食塩水300g(A)と7%の食塩水200g(B)混ぜると、
食塩水の重さ…300+200=500g
食塩の重さ…300×0.12+200×0.07=36+14=50g

混ぜたときの濃度…50÷500=0.1=
10% →上の図の考え順1 

さてここで問題1を次のようにシンプルに考え直すことができます。
(上の図の考え順2 てんびん)
12%の食塩水と7%の食塩水を混ぜたら10%の食塩水が300gできました。
12%の食塩水と7%の食塩水を何gずつ混ぜましたか?

ここは〈てんびん〉で乗り越えましょう。
解説図
こんな感じになりますね。12%の食塩水300×3/5=180gと7%の食塩水300×2/5=120gを混ぜると10%の食塩水ができます。

つまりAの容器に12%の食塩水を180gを残し、そこにBの容器からやってきた7%の食塩水120gを加えると、Aの容器に10%の食塩水が300gできるということです。

gはBの容器からAの容器に移された重さだから120gです。 ←解答

注意
 上の計算は容器Aで10%の食塩水300gができることに着目しましたが、容器Bで10%の食塩水200gができることに着目しても同じように解けます。

てんびんに持ち込む前の
大事な発想のところを忘れないでくださいね。

では次の問題。

問題2
坂本クンは、15%の食塩水100gを作る予定で水100gに食塩15gをとかしました。
ところが、できた食塩水が15%でないことに気づき、食塩水をある量だけ捨て、さらに食塩をある量だけとかして15%の食塩水100gを作りました。
坂本君が捨てた食塩水の量と、あとでとかした食塩の量はそれぞれ何gですか?


この問題は、食塩水を混ぜるわけではないから〈てんびん〉を使う余地はありません。
難しくありませんが、なんでもかんでも食塩水は〈てんびん〉だと思っている人は意外と迷路に入ってしまうかもしれませんよ。
例年、悩んでしまうてんびん病の生徒がたくさんいます。みなさんは冷静に対処できますか?

坂本君が間違えて作った食塩水と、最後にできた正しい食塩水を比べます。

【M 間違いの食塩水】
 
食塩15g 水100g 食塩水115g 濃度15/115=3/23

【R 正しい食塩水】
 
食塩15g 水85g  食塩水100g 濃度15/100=15%

Mの食塩水をRの食塩水に直したいわけですが、
食塩水を15g減らすとは考えずに、
水を15g減らすと考えてください

Mの食塩水の濃度は3/23だから、水の占める割合は1−3/23=20/23
よって、Mの食塩水が
水を15g含むための食塩水の量は、
15÷20/23=
17.25g 相当算の基本 (比べる量)÷(割合)=(もとにする量)

つまり、Mの状態から
食塩水17.25gを捨てれば、水15gを減らすことができます。

ところが

このことで水15gが捨てられましたが、食塩水17.25gの中には
17.25×3/23=
2.25gの食塩が含まれているから、
その分の食塩を補わなくてはなりません。
よって、最後に補う食塩の量は
2.25g です。
※17.25−15=2.25gでもかまいません

解答 捨てる食塩水
17.25g あとでとかした食塩 2.25g

***
以上、
食塩水の問題で〈てんびん〉だけでは解けない問題、〈てんびん〉が関係ない問題もあるというお話でした。
あんまり多くの塾が食塩水のてんびんを流行(はや)らせちゃったものだから、最近の入試問題では、こうした問題も増えている傾向がありますよ。

前に第3講座で「そのうちてんびんの弱点も書きます」なんて宣言しながら、他の内容に押されてなかなか書く暇がありませんでした。でもやっと今回約束が果たせてホッとしました。

ではこれで第63講座を終了します。次回の第64講座をお楽しみに!


カーテンコール
問題1で容器Aに最初に溶けている食塩は300×0.12=36g、最後に溶けている食塩は300×0.1=30gです。6gの食塩が減少してますね。ここに注目し、〈てんびん〉を用いない解法もあります。今回は解説しませんが、興味のある人は考えてみてほしいと思います。「もしAB1gの交換だったらどのように食塩が移動するか?」と考えます。

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